なぜ、おひつを使うとごはんがおいしくなるの?

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お櫃今回はごはんをおいしくするアイテムとして注目されている お櫃(おひつ) についてご紹介いたします。

お櫃と聞くと、どんなイメージを思い描くでしょうか。
まわりの友人・知人に聞くと、”旅館や合宿所等ででてくるヤツ”や”昭和”が多く、なかには”(保温してないから)すぐ腐りそう”といった印象を持っている方もいました。

お櫃が日常的に使用されなくなったことで、使い方がわからなかったり、間違った認識をも持ってしまったりと、お櫃にとっても不遇の時代といっても過言ではありません。

しかし、お櫃の機能性がじわじわと見直され、日常的にあえて使う方が増えているようです。
お櫃の機能性って?ただ入れて保存するだけなのに?と思われるかも知れません。
電気炊飯器の保温の方が機能性としては高くない?と。

確かに温度を保つ点においては保温機能にはかないませんが、お櫃にはごはんをおいしくする機能があるんです!

なぜごはんがおいしくなるのか、お櫃の種類や使い方、お手入れ方法等について、木曽でおひつをはじめひのきやさわらを使ったせいろやまな板などをつくっている株式会社山一の代表・柴原さんに解説いただいたことを詳しく説明していきますので、最後までお付き合いくださいませ。

1. お櫃の機能 お櫃をつかうとなぜごはんがおいしくなるの?

電気炊飯器の保温機能とおひつの違い

電気炊飯器の保温機能は、いつでもあたたかいごはんをそのままよそい食べられる便利な機能ですが、ごはんに熱が入り続け適度な水分調整が難しいため、味や食感が悪くなっていってしまいます。

結果、食事後に残ったごはんをラップやごはん専用容器に入れ冷凍保存されている方が多くいらっしゃいます。

電気炊飯器は炊き上がったごはんを保温するだけで、どの炊飯器も(時間差はあれど)ごはんが段々とおいしくなくなってしまいます。

対して、おひつはごはんをおいしくする機能をもった”保存もできる調理道具”と言えるでしょう。

おひつは、炊きあがったごはんの水分を適度に吸い込み最適な状態を保ってくれるのです。

おひつ

どのくらいごはんを保存できるの?

夏場で1日ほど、冬場は2、3日はおひつに入れた状態でおいしさを保つようです。
*部屋内の状況(温度や湿度等)により変動があります。あくまで上記は目安としてお考えいただき、実際に使いながら”おいしく食べられる時間”をはかってみてください。

木自体がある程度の保温性をもっていますが、熱々の状態を保つわけではなく、時間が経てばいわゆる”冷ごはん”の状態になります。
しかし、冷めた状態でも冷蔵庫に入れたようにカチカチにはならず、しっとりやわらかくそのまま食べてもおいしい状態を保ちます。

また、冷ごはんは糖質の吸収をゆるやかにすることが分かっておりますので、活動量の少なくなる夜に冷ごはんを食べればダイエットの一助になると思います…食べ過ぎに注意すれば、ですけどね(それが難しいのだけれども)。

2. お櫃の選び方 いろんな種類のおひつがあるけど機能的な違いはあるの?

お櫃の形状(正確には蓋の形状)の違いにより、江戸びつ・地びつ(関西びつ/のせびつ)がございます。
*ここでは、山一様のお櫃の名称に従い、江戸びつ・地びつでご案内いたします。

江戸びつと地びつ

江戸びつは本体より一回り大きくて浅い桶を上から被せたようなつくりになっております。
対して地びつは、取っ手のついた蓋を置くだけのつくりとなっております。
*山一の地びつ・蓋はズレ防止のため段差がついているので、蓋がずれ落ちにくくなっております。

地びつの蓋

山一の江戸びつ・地びつの本体は同一のもので蓋の形状の違いのみとなっております。

竹箍お櫃

また、竹箍(たけたが)お櫃についても同様で、江戸びつや地びつの銅箍(どうたが)部分が竹箍仕上げとなっております。

いずれのお櫃も機能的な差異はなく、単純にデザインの差だと言われていますので、ご自身のお好みにあわせお選びくださいませ。

お櫃の容量について

ご自宅で一日に食べる合数+1合~2合の容量があると、お櫃の機能を余すことなく堪能できます。

例1)一日の消費量が3合の場合、3合+1合で4合入るお櫃をおすすめ

一日の消費量に対し、食べる合数と同じであったり大き過ぎたりすると、お櫃の機能はうまく作用しません。

例2)一日に3合の必要量に対し3合のお櫃をつかった場合、お櫃内での空気が滞留し吸湿がうまくいかずごはんの水分をうまく調整できずベシャベシャになり味・食感を損なってしまいます。

例3)一日に3合の必要量に対し10合のお櫃をつかった場合、吸湿のし過ぎによりごはんが乾燥してしまい固くなってしまいます。

一日に食べる量にあったお櫃を選ぶことでよりおいしいごはんをいただくことができるのです。

お櫃に使われている木材について

おひつ
お櫃に使われている材は”さわら”です。
さわらは桶(お櫃や飯台も含みます)に最適な材として昔から使われているのは、こんな理由があるからです。

*吸水性がいい

炊き立てのすしご飯の余分な水分を吸ってサラッと仕上がります。

*通気性がよく保温力が高い

味を落とすことなく、長時間おいしく保ちます。

*耐水湿性・耐酸性が高い

耐久性が高いので、長くお使いいただけます。

*ほんのり香る”木香(きが)”がごはんをおいしくします

ひのきのように強い芳香ではなく、わずかに香る木の香りがごはんのおいしさを引き立てます。

さらに、山一のお櫃はすべて”木曽さわら”を使用しております。
さわらは福島県以南にたくさん産地がありますが、江戸時代から「桶は木曽のさわらが一番」と言われております。
高樹齢のさわらが多いことはもちろんですが、独特の赤みがあり、通常のさわらよりもさらに耐水性と耐酸性に優れているからです。

「使う人の手入れの方法が桶の寿命を決める。その寿命を永くするためにも技術の習得は一生の仕事」と木曽の桶職人さんはいいます。
その土台には”木曽さわら”があり、職人さんの高い技術とあわさることで、江戸時代からかわらない「用の美」と、ごはんの余分な水分を吸収して本来のうまみを引き出す力が兼ね備えられているのです。

おひつ

セラミック製のおひつについて

伝統的な木のお櫃に次いでセラミック製のお櫃も近年人気があります。
多孔質のため吸放湿性も高く、木のお櫃と比べお手入れも簡単、電子レンジも使える優れものです。
ただし、木にくらべ重く、衝撃によって欠けやヒビが入る等、日々の取扱に若干の注意が必要となります。
また、容量が3合までのものが多く(あまり大きくても電子レンジに入らないため?)、一日の消費量が2合までのご家庭あるいは単身者向けのお櫃となります。

木とセラミック、どちらも一長一短ありますが、ざっくり2合以上は木、2合未満はセラミックと考えても、大きく間違ってはいないと思います。

もちろん、大きいセラミックのお櫃があればその容量+1合でお考えいただければ良いですが、その場合おそらくお櫃自体の重さが2kg近くになるので、毎日の取扱がちょっと不便かも知れません。

木曽・山一のお櫃はどんなお櫃?

木肌

一般的な量産型の桶は「バフ(研磨)仕上げ」が施されています。

木目方向ではなく、木目に垂直に布やすりで研磨をするため、木の表面を荒らし、木の肌のツヤをなくしてしまい耐水性のある木肌の特長を損なってしまうのです。

木肌のツヤを生かし耐水性をあげる鉋仕上げは、たくさんの手間と時間がかかります。
しかし、この手間を惜しんでしまうと「永く使える道具」にはなり得ません。

お櫃に限らず木製品はすべて、何十年、何百年と生きた木を使っており、徒や疎かにできるものではありません。

大切に使い、壊れたら直す。
何年、何十年と永く使っていただくため、山一の桶は江戸時代から受け継がれている伝統技法「鉋仕上げ」で職人がひとつひとつ丁寧に仕上げた道具をお届けしております。

3. お櫃のお手入れ お櫃の洗い方や保存方法は?

あく抜き・ニオイ抜きの方法

最初に使うときは”あく抜き・ニオイ(木香/きが)抜き”をしましょう!

おひつ あく抜き

あく抜き・ニオイ抜きの方法

1.米の研ぎ汁を桶いっぱいに入れてください。

2.1回目の研ぎ汁で桶がいっぱいにならない場合は2回目3回目の研ぎ汁を足してください。

3.研ぎ汁がいっぱいになったらそのまま3時間程度放置してください。

4.3時間経過後は水洗いして日陰干しで十分に乾燥させてください。

*お櫃は「水入れ桶」ではありませんので水が漏れる場合があります。あく抜きの際はシンク等の水漏れをしても問題のない場所で行ってください。

*あく抜き・ニオイ抜きは最初だけで問題ありません。多少のニオイが気になっても徐々に香りは弱まっていきますので、これ以外のニオイ抜き方法はおやめください。

日々のお手入れ方法

≪使用前≫

ごはんを入れる前にお櫃の内側を固く絞った濡布巾で拭き上げてご使用くださいませ。

「そのまま入れるとごはんがくっついてしまいそう」と、内側を濡らしてから入れるとお考えの方もいらっしゃると思いますが、お櫃を水で濡らしてしまうと調湿が機能しなくなり、炊飯器の釜で保存しているのとなんら変わらない状態となってしまいますのでおやめください。

ご使用前に固く絞った濡布巾でお櫃の内側を軽く拭き、そのまま炊いたごはんを入れてください。ごはんの表面についた水分や湯気が適度に吸収されることでごはんがおいしくなることはすでにお話しましたが、お櫃の内側に吸収された水分のおかげでごはんが大量にくっついてしまったり、こびりついてしまったりする心配も少なくなるのです。

≪使用後≫

1.水洗い

木部

合成洗剤は使用せず、粉末クレンザーか塩を使い桶の内側外側を丁寧に洗ってください。その際、隅々までやさしく洗浄できる棕櫚の束子を使うと傷がつきにくく、永くお使いいただけます。
*あまり汚れていないときは粉末クレンザーも塩も不要です。水と束子でやさしく洗ってください。
洗い終わったら、木口(こぐち/木の切口部)に消毒用アルコール(エタノール)を霧吹きしておくと黒ずみやカビの発生を抑制できます。

銅部

銅タガは酸化することでアメ色に変色していきます。
経年変化を楽しむこともできますが、磨く場合には濡れた綿布にクレンザーをつけて銅の部分だけ磨きましょう。木部にその綿布がつくと汚れが付着するので、マスキングをして行う等、十分に気を付けましょう。

2.乾燥

風通しの良いときころで充分に日陰干しをしてくださいませ。
直射日光に当ててしまうと、急激な乾燥で気が縮みタガが外れてしまう恐れがあります。
また、タガはずれ、木の割れ、反りの原因になるので、食器洗浄機や食器乾燥機の使用は絶対にやめましょう。

3.保管

直接空気に触れさせないためには、綿布に包んで保管しましょう。
保管場所は温度変化の少なく湿気のないところが最適です。
お櫃は蓋が閉まったまま保管すると木ヤニ(天然樹脂)を発生させてしまうので、蓋を開けた状態で綿布に包んで保管しましょう。

木ヤニ(天然樹脂)について

木質や気候・保管条件によっては、天然木特融の”ヤニ”が発生することがあります。
これは木の天然樹脂で、木肌に滲み出る粘着性の樹液で人体には無害です。
ヤニは木曽さわら特有の芳香の素にもなっていますが、ベトベトした肌触りが気になる場合は消毒用アルコール(エタノール)で拭きとってください。

おひつ

4. 最後に

おひつの使い方やお手入れについて、ざっくりとですが説明させていただきましたが、いかがだったでしょうか。

まとめると、

・形状はお好みのものを

・容量は一日にたべる量+一合分を目安に

・吸湿性、通気性、耐久性の高い木曽さわらをつかったもので

・永くつかうために鉋仕上げの

おひつが使い勝手がよく永くご使用いただけると思います。

ご自分の生活スタイルにあった大きさ・形状のおひつで、おいしいごはんを毎日いただきましょう!

最後の最後に、もし、わかりにくいところや他に気になることがあれば対応いたしますので、コメントいただけると嬉しいです。

★山一のお櫃はこちらからご購入いただけます